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吉川醸造 「雨降///あふり」

  

日本酒の概念が一気に覆された。吉川醸造の「雨降///あふり」は精米歩合90%。

本来日本酒は、米の表層部分にはたんぱく質や脂質、でんぷんなど栄養素が含まれているのであるが、これらの栄養素が多すぎると、雑味が残りやすくなる。

その為に米の表面を相当量削ることによって酒の旨味を引き出す努力をしている。大吟醸ともなれば、米の50%以上を削り取るという何とも勿体ない作業を行う。しかし、この「雨降///あふり」は、ほとんど削ることなく見事な酒を作り上げている。

精米歩合90%ともなれば、10%しか削ることなく仕上げているので、はたして旨い酒ができあがるのか。と、単純な疑問が生じる。

「精米歩合が低くて不味ければ、そりゃ当たり前だろう」と高を括る声が少なからず起きるだろうと予測はつくが、この酒、味わい深く、香りも高い。本当に精米歩合90%なのかと我が舌を疑いたくなる。

それほど、見事な仕上がりだ。

きっと苦労は多かったと思う。今までの概念をひっくり返し、新しいチャレンジには杜氏の発想の柔らかさがこの酒を醸し出したのだろうと称賛を贈りたい。

古来より雨降山(あふりやま)と呼ばれた大山阿夫利(あふり)神社。大山阿夫利神社は酒解(さけどけ)神という酒造の神を祀っている。「雨降」の文字はその神官に、水とお酒に対する感謝の想いを込めて揮毫していただいたものだそうだ。

酒造の神は、新しい日本酒を神奈川県伊勢原にある吉川醸造に託したのかもしれない。

いい酒は、美しい酒は、飲み手の心を大きく揺るがす。それは言葉では現わせない天から降り下りる作品だと、私は思うのだが…。


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