産土(うぶすな)
東京ではなかなか目に止まらない酒かもしれない。
熊本の産土(うぶすな)。熊本限定にして2022年に生まれた。何とも複雑な味わいを感じる。熊本在来種の米「穂増(ほませ)」を使っていると言うが、この米も奇跡的に復刻されたようだ。
自社農地と菊池川水系の農家で自然栽培した江戸時代の熊本在来種「穂増(ほませ)」は、それこそ希少価値のある米になる。その米で作り込んだのが産土(うぶすな)。
単純に華やかな香りだけではない、時代と歴史を刻んだ酒が誕生した訳だから、味わいの思いも一入である。
「産土を通して、土着の文化や価値、自然の素晴らしさを伝えたい」と語るのは蔵元杜氏、神田清隆氏である。
それにしても、熊本に遊びに行ったとき「産土」には出会わなかった。これが、実に残念である。地元に行けば地元の酒、それが信念であるのもかかわらず、地元で見つからなければ飲めるはずもなく、結局知った酒に気持ちが動いてしまう。
地域の飲食店も「こんな美味い酒が熊本にはあるよ」てな、宣伝が行き届くと酒飲みは感激するものなのだが、なかなか地元で「これだ!」と思える酒に出会えないのが残念でもある。
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