熊本の歓楽街「いい店、見っけ」
酔って歩けば何かにぶつかる。時としてそれが駐車している自転車だったり、外に転がるゴミ箱だったり、それは何の意味もない「見っけ」だろうが、今回はお好み焼きとおでんの店が飛び込んできた。
西に向かえば当然の如く見つかる、粉物の店、お好み焼き。これがあるようで無いのである。熊本まで来ると関西風でも、広島風でもありそうに思うのだが、それが無いのである。
しかし、酒飲みの鼻は確かである。「お好み焼き屋、見っけ」。
腹はくちくなっていたが、それは別腹、必然的に店の暖簾をくぐってしまう。店は「都一」、昭和35年に創業「熊本一番のお好み焼き屋を目指す」と決意。「都の一番店」を縮めてこの店名を付けたそうだ。
今では「行列が出来るお好み焼き屋」として県民には知られているようだが、そんな行列のはざまに運よく入店できた。ここのお好み焼き、薄焼きの生地にたっぷりのキャベツとお好みの具をオムレット状にはさみ、包み焼きしている。平焼きである。
カウンターに座ったのがラッキーであった。目の前の鉄板には薄焼きの生地が6個、所狭しと並んでいる。そのうちキャベツがど~ん。豚肉やエビ、次から次へと重ねては、そんな山盛りの状態から「片手でひょい」とひっくり返す。まさに職人技。
そんな姿を今度は二つに折り曲げ、平たく畳んで出来上がり。ソースの香りが広がって食欲頂点。
さらには、この料金。セットで頼めばお好み焼きに、飲み物一品、そしておでんが3個ついて千円ちょっとの大安売り。
「いやいや、安いし旨いし」と感心しながらビールとおでんが前菜となりお好み焼きで締めとなった。呑んだ後には最高の味である。
酒の種類がどうだこうだと考えているゆとりはない。次から次へと客が店に顔を出す。入りきれないので、外で待つ。待っていても食っていきたい店だと感心する。
そんな待ち客に失礼なので、早々に退散して店を出れば、若い女性が店前で列をなしていた。
「熊本の歓楽街、まだまだいい店がありそうだ。それではもう一軒…。」
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