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NOGUCHI 酒造りの神様

  

「杜氏・野口尚彦」その名を知らない者は酒の業界では一人もいない。まさに酒造りの巨匠である。その技を継承するために若き弟子たちが格闘する。

そんなドキュメンタリー映画をAmazonプライムから視聴できる。

カメラは一年間に渡り酒蔵に密着して野口尚彦氏の歩みを追い続ける。完璧な酒を求めて米と水に向き合う杜氏の姿は、当時88歳という年齢を超越した技の全てとして目に焼き付けてくる。

農口尚彦研究所は匠の技術・精神・生き様を次世代に継承することを目的に、農口杜氏が厳選した若き蔵人を集め2017年に開業した石川県小松市の新しい酒蔵である。

今までに600名を越える蔵人を育て、その中から多くの杜氏も誕生している。そんな歩みが映像の中で蔵人への厳しさとして見る者に厳しく伝わってくる。

炊きあがった米に麹菌を植え込む。真夜中だろうが2時間おきに麹の状況を確認しなければならない。寝ては起き、その繰り返しが体力も思考力も奪ってゆく。しかしこれが酒造りの真髄でもある。

蔵人だけではなく野口杜氏にもこの戦いは当然の如く襲い掛かる。それは「旨い酒」を造りたいその一心で作業は進む。

映像がとられた年に、最終作業として山廃純米大吟醸を手掛ける。「外国の人にも旨いと思わせる酒が造りたい」そんな新しい意欲が野口杜氏の脳裏を駆け巡る。

しかし蔵人たちはまだ若い。最高の「山廃純米大吟醸酒」は無事に完成するのだろうか。

「今年の米は浸透しない」と首を傾げる。浸透させる水の温度を1度ずつ上げてゆく、納得するまで何度も試行錯誤が繰り返される。

画面を覗きながら、その苦悩の姿を見ながら自ずと釘付けになってゆく。そして出来上がった山廃純米大吟醸酒に微笑む野口杜氏の笑顔は、まるで好好爺の優しい笑顔に変わっていた。

74歳で「現代の名工」に選出、76歳で「黄綬褒章」を受賞。引退と現役復帰を三度繰り返したが、90歳を超えたいまでも、現役で酒造りを行っている。

酒を生半可な気持ちで飲むことはできない。されど、この庶民の酒を生涯かけて作り続けている「杜氏・野口尚彦」。その心を動かすのは「飲み手の旨いと思う酒造り」それ一心だけだ。


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