作家シリーズ「尾崎士朗」
尾崎氏は大変な酒豪で、緊張すると吃音がひどいのですが、一旦酒が入ると雄弁に語り明治の書生のように志を語ったそうです。
そんな事もあり手元には常に酒を欠かさず用意していました。
そんな尾崎氏のエピソードを、本好きのTさん改め、田辺さん(仮名)の文献から。
「私の好きな広島県の酒の事を小説に書いてくれって、そこの社長から酒を40本も送ってきたんだ。40本というと4斗樽と同じ量で、これ飲みきるかなと思っていたけど、飲んでみると、飲めるもんでみるみるうちに無くなってしまい、朝起きると、飲み続けていいお正月でした」
朝起きてすぐ飲めるなんて、何とも羨ましい。
「私は数学がだめでしてね、いまでも小学校の算術ができない。割り算なんてものは全然わかりませんね。印税なんか自分で計算できませんけど、わかったような顔しています。ごまかされると困りますから」
あたしも自慢じゃないが、金計算は達者だが、方程式や微分積分は全くわかりません。
「早稲田にいた時分、吉原にいくんなら、制帽をかぶって堂々と行けってことを主張していた仲間が5・6人いました。そのなかの一人が○○(本人の名誉のため匿名)という奴で「人生劇場」の新海一八です。これがのちに賀茂鶴の重役になって、僕に40本飲ました男です」
良き時代ですね、吉原遊びを公言できるんですから。
現代は風俗に通っていたことさえ、ひた隠しにする時代です。
こんなエピソードから、賀茂鶴を探しましたが、意外と難しく見つかりませんでした。
同じ広島の銘酒 (株)今田酒造 富久長 純米吟醸 八反草をご紹介します。
ごぞんじ女杜氏 今田美穂さん渾身のお酒。
八反草とは八反錦の源流で、140年以前の幻の米だそうです。
すっきりした香りが嬉しい銘酒でした。
この記事へのコメントはこちら