鍋島 愛山 純米吟醸 (滝田ゆう氏)-3
ホント。まったく乱暴な時代でしたよ。それは誰彼の容赦なく、
好むと好まざるとに拘らず、なにもかも一緒くたにされて、戦争という巨大な
渦の中に巻き込まれて—-。
あの頃は、中学生も男女を問わず、授業ほっぽり出して勤労動員に駆り出され、
軍需工場へ通うことになる。それでも必須課目の教練だけは相変わらず
初年兵教育よろしく、やたら怒鳴られ、気合掛けられ、張り倒され、
挙句の果ては炎天下、校庭何周も走らされて、いやあ、まいったまいった。
その教練も、木銃振り回してるばかりじゃ埓があかず、
サツマイモ作りの方がより銃後の守りにふさわしいと、
荒川べりの河原に出向いての農作業が、それに替わる主な課目?
になるわけだ—-。
なにせ決戦農場というだけあって、腰ほどまでの雑草生い茂る、
荒地の開墾にはじまるわけで、草むしりから、畝づくり、
そして苗まで植えちゃおうつうわけで、これまた依然としてしつっこく
教練の万年曹長どのが監督にあたって、「なにしとるかァ!テレテレするな!」
なにっちゃんでい!自分なんてただ突っ立って、号令かけてるだけじゃねいか。
なんか、イモムシみたいのが土中から出てきたら、
ひょいとつまんで女の子のほうへ、ポーン、キャーッ!
なんちゃったりして、それが正常。
「キャーッ!」ン?誰かほんとうにイモムシ投げたらしい。
とたんに万年曹長の眼が光った。とにもかくにも一億火の玉決戦農場!!
ダテにサツマイモは作るんじゃないぞと、たちまちクラス全員、ビンタの雨—-。
それでも予定の作業が終わり、現地解散でわが家へ帰って行く、
あのあたりの開放感—-。ああ、スパルタ農場—-。
昭和夢草紙「ああ、スパルタ農場」より。
フレッシュな酸が生かされた、爽やかさとキレ。
贅沢な愛山使用です。
佐賀県 富久千代酒造有限会社 鍋島 愛山 純米吟醸 Lovely Label
精米歩合50% アルコール分16度
1.8L 4、000円(税別)
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