十四代 大吟醸「双虹」
いやはや、人間生きていれば豪勢なものに巡り合えるものである。十四代 大吟醸「双虹(そうこう)」を一舐めさせてもらった。
もう少し綺麗な言葉で表現させてもらうと、60ミリの御猪口でそっと一口喉を湿らせた程度の分量を頂いた訳である。吟醸香は優しくフルーティーな香り、酸味は少なく滑らかに旨味を引き出している。後味も爽やかで何杯も飲み進められる感と表現しようか。
一升瓶のラベルは和紙。双虹の文字が麟と輝く。肩には七垂二十貫(しちたれにじゅっかん)と太字で表現。その七垂二十貫は、七垂れがお酒、二十貫は酒粕。昔酒蔵で七垂二十貫で酒を造ると蔵が潰れるという迷信があったそうで、それだけ贅沢に造られたと言えるのだろう。
だだ、この「双虹」をネットショッピングで検索すると10万円の大台を超す値段。「おいおい、誰が飲むんじゃ!」と信じられない金額に啞然としてしまう。しかも、この酒は正規の値段は1万円、それが10倍以上に跳ね上がるのだから付加価値とは恐ろしいものだ。
それだけ手に入らない「十四代」。酒屋では、まったく素人には手の届かないものになっている。店先で売り出すと表示されるものなら早朝から行列は出来るし、それこそ目の色変えての購入騒ぎになってしまう。
それほどの酒を、味わわせてくれる店の心意気にも驚くが、それだけ店に足を運んだ成果だろうか。ただ、店の名前はご勘弁願いたい、もしもいらぬ輩が、「俺にも飲ませろ」と御託を並べられても困るからだ。
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