外来にたった一人でブラリとやってきた。
診察の結果は末期の肺癌であった。

個室に入院した老人は見舞いもなく、カルテに書かれた住所はデタラメであった。
身なりも言葉使いも上品なその老人が語ってくれました。

妻に、日に日に老いて行く病人の最後を、見取る義務はないでしょう。
死ぬための費用は用意してあります。
くれぐれも私が死ぬまで家族には連絡しないで下さい。
家族は私の残した手紙を見て、決して捜さないと思います。

穏やかな死に顔であった。
持ち物から出てきた色紙には蛍が描かれ、サインは有名な画家のものでした。

理想的な終活ですな～、家族には迷惑をかけたくないもんです。

爽やかな純米酒。広がる米の旨みと鼻を抜ける香り、
すっきりした喉越しです。

山梨県 山梨銘醸　七賢 風凛美山（ふうりんびざん）純米生酒
精米歩合 ７０％ アルコール分１６度
７２０ml １、０００円（税別）