なぎら健壱氏「酒にまじわれば」再び
3月頃になぎら健壱氏の著書について一言書かせてもらった。
何とまあ馬鹿馬鹿しいと思いながらも、「あたしの生活と一緒じゃないの」あらまあ。と天を仰いだ一冊である。
酒好きならば、是非お薦めしたいエッセー集である。
詳細は書きたくないが、一つ二つ紹介すれば。
酔うと大暴れして自分の店をメチャクチャにしてしまうマスターとの出会いなどは、なかなか切実な話である。その人に逢ってみたいなとも思うのであるが、その場にいたら大変なことになるので、マスターが大暴れした翌日、そっとその店を覗いてみたいものだと思うのである。
中には、ためになる話も数は少ないが存在する。「天抜き」という言葉を知っているだろうか。
天ぬき(天抜き てんぬき)とは、天麩羅蕎麦(てんぷらそば)の蕎麦抜きのことだそうである。あたしもこれは知らなかった。どうも、東京の蕎麦屋で使われる江戸っ子言葉の一種だそうである。
これをそば屋で注文したら、若い店員は当然分からない。説明しては見たものの、最後に出てきたのが、天麩羅だったそうだ。「そうじゃないんだよ。そば汁につかった天麩羅が食いたいんだよ」と落ちるわけである。
話はまだまだ後を引く。この酒を飲むと必ず前後不覚になって酔いつぶれる酒の話では、当然ぶっ倒れたのである。ガラスのコップを食べちゃった知人の話などは、昔のテレビ番組に出させて白いギターを獲得させたかったと、共感すること間違いない。
類は友を呼ぶとはよく言ったもので、類をもって集まるのは、同じ感性の仲間のようだ。
そういうあたしの回りにも、そんな仲間がうじゃうじゃしている。
あまり推薦できないが、「蛸壺の会」という変な集団が存在する。そのメンバーも、この類友である。
入るのは誰でも入れるが、脱会する時には100万円取られる、まさに蛸壺の会である。
そのメンバーも、大なり小なり、なぎら健壱氏の「酒にまじわれば」に登場する人物に似たり寄ったりである。その1人にあたしも名を連ねているのであるから、何とも言いがたい所である。
メンバーの話も、追々書きたいと思っている。勿論クレームが来ない範囲で書こうとは思っているが、書いちゃえばこっちのもんだ。
実はこのメンバーと明日から、3日間、珍道中を繰り広げてくる。無事に帰って来れるかは、あたしも自信がない。
それでも、「しゅにまじわり」ながら旅を続けてみたいと思う。
週末に、この文面が再開されれば、無事の帰宅と受け止めてもらい。それまでしばらくのお休みをいただきたい。
提灯の明かりです。
たいへんご無沙汰しています。
「酒にまじわれば」私も以前、上司から「貸してやるよ」と渡されたことがあります。
妻の親を深夜の救急病院に運び入れ、診察を待つ間、ふっと、その貸していただいた本を開いてしまいました。
東北本線の車中でカセットコンロを取り出した、おじさん四人組の話でした。
月の明かりさんでああれば、ご想像ができるかと思います。
溢れそうな笑いをこらえたばかりに、鼻を鳴らし、目には涙の粒が・・・
隣では、やはり救急車で運ばれた方の家族が本当に泣いていました。
とても不謹慎な夜でした。
ぜひ、この手の本は読む場所にご注意を。
よい旅をお楽しみください。