石川県鹿野酒造「益荒男」(ますらお)山廃純米
「杜氏一代、酒屋一代」という言葉が古くから伝えられています。そう、杜氏が造り上げたこだわりの味、酒屋としての酒造りへのこだわりというのは、そう簡単に次の世代へ渡せるものではないのだと、酒造りの難しさを表す言葉です。
でも、そんな難しさを乗り越えてきたからこそ、いまの鹿野酒造があり、「常きげん」が今も呑み継がれているのでしょう。鹿野酒造が代々受け継いできたのは、まぎれもなく「人、米、水へのこだわり」という基本です。
そのこだわりの中から、「常きげん」で有名な鹿野酒造が、㈱花山のオリジナル商品として「益荒男」(ますらお)を造り上げました。
その酒造りに精魂込めたのが、能登杜氏・農口尚彦氏です。
古くより「能登杜氏」で知られる、石川県は能登町の生まれ。昭和24年静岡県の酒蔵を振り出しに親子三代にわたる杜氏一家として昭和38年に杜氏として就任。
酒造り58年の熟達者として輝かしい実績を残し、中でも全国新酒鑑評会において、連続12回、通算24回の金賞受賞に輝き、古今類例を見ない栄誉を受け、他の追随を許さない酒造りの名人として広く知られております。
平成18年(2006年)に卓越技能者に贈られる「現代の名工」に認定され、厚生労働大臣から表彰される栄誉を受けました。
さて、その農口尚彦杜氏が手がけた銘酒が手に入りました。しかも、製造年月は09年1月。つまり、瓶詰めされて9ヶ月。しかも、生原酒です。
普通でしたなら、生酒で半年以上経ったお酒は人には薦めません。
しかし、しかしであります。
この喉越しに残る酸味は何なんでしょう。まさに熟成された味わいではないでしょうか。
一歩間違えば「老ね(劣化)」てしまう場合もあるのでしょう。所が、きちんと造られた酒と、きちんと保存された酒は味わいは増すものです。
多少色づいた黄金色は、まさに美しき芸術であります。
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