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而今

  

さてよ、さてよのお立合い。ここに見えるは3本の日本酒。左から特等雄町「而今」真ん中に鎮座するは、奥出雲前綿屋純米吟醸生酒「試験醸造」そして最後に締めるは長野の「龍水泉」いい酒が並んだ。

そんな中で、特等雄町「而今」に焦点を当てる。

而今と言えば、三重県の木屋正酒造の大西唯克杜氏が造った銘柄だ。何と29歳と言う若さで蔵元杜氏として世に披露した。その味は年と共に熟練された味わいに「やはり而今だ」と飲み手を唸らせる。

酒は毎年同じ味わいで出来上がる訳ではない。時として、「ややっ」と首を傾げたくなる時もある。しかし、この而今はそんな疑問や不安を感じたことがない。杜氏の妙技だろう。

その大西杜氏も48歳と熟年の域に到達した。そして生み出されたのが、特等雄町「而今」だ。

果たして何時頃から、特等雄町「而今」が造られていたのか定かではない。調べる気がないのか、やる気がないのか兎に角初めて目にしたのだ。知らない酒が数々あれど、この酒に出会えたのは実にラッキーである。

しかも金額がすっ飛んでいる。「四合瓶で3万越えだぜ!」一升瓶で換算すると6万以上。「ひや~、ビックリだね」しかもこの酒、昨夜飲んじまったのだから生きた心地がしない。

「どんな味だった」とよく聞かれるが、そんな声にどんな風に答えればいいのか、この金額の評価を言葉で言い表すことが出来るわけはない。

ただ、よく感じるのは、こんなに高額な酒を一体「誰が飲むんじゃい」。勿論、叱責している訳ではない。ただ、こんなにいい酒を造っても私ら庶民の口には入らないだろう。本当にたまたま、まさに偶然の賜物で飲むことが出来たが、生涯二度と飲む機会はないと思う。それは、あまりにも寂しいではないか。

「而今」と言う銘柄は、過去にも未来にも囚われることなく、今の一瞬に生きろ。という禅の言葉と聞いた。若く杜氏となって苦労を重ねた大西杜氏であるから、この言葉も生きると思う。

「今後もいい酒を造ってもらいたい」その願いは全国の飲み手の心だと思う。決して特定の金持ちだけが喜ぶ酒を醸すのが、その生き方とは思えない。切に思う、「私が飲める金額でいい酒を造ってもらえないか」そして而今がその代名詞として語り継がれることを「切に、切に願う」。


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