>自動翻訳機能について

労働組合について

  

その頃の僕は労働組合の書記長であった。ただ、残念ながら公然化する前の、非公然な状況での活動であった。

労働者が全国で2000名の会社の中で、突然降って湧いた噂話は800名の指名解雇が行われるという情報であった。噂とはいえ、根も葉もない話が舞い込んでくるはずはなく、調べ出せばその内容が事実であることは訳なく判明した。

事実であれば、少なからずこの東京では数百名の解雇に結び付く。黙って見過ごすことが出来ないのは、自分の身にも火の粉が舞ってくる可能性があるからである。とは言え、こんな時に狼狽えるのは日頃成績のよくない社員から波は広がる。

「おい、聞いたかよ。俺たち首になるかもしれないぞ」どうする、どうするで。何ら解決策は見つからない。結局、非公然ながら組合結成とお決まりのコースに乗った先頭に、僕が担ぎ上げられたという訳だ。

非公然となれば、会社に組合結成の内容が知られない状況での活動となる。一人、二人と都内の支店から仲間を見つけ組合員へ誘いかける。広がりが池の波紋のように広がりだした頃、突然仲間の一人が九州へ転勤となった。しかも栄転である。転勤後すぐ家まで建てたとなれば想像する事は一つである。

それから、僕の活動は大きく転落した。仕事帰りの道で尾行され、常に上司の目線が僕に注がれるようになった。つまり、九州に転勤した者から情報が漏れたようだ。

最後に僕は首を言い渡され、委員長は自ら退職。数十名の仲間は全部地方に配転となった。

組合の旗上げもできず。仲間たちは飛ばされ、組合員以外の労働者にも多数の指名解雇者を生み出すという会社の思惑のままに事は運んでしまった。

ただ一言だけ書き連ねたい。この会社は大企業の関連会社であった。労働者の首を切らなければ経営が成り立たない状態ではなかった。つまり「黒字倒産」を目論んでの労働者解雇であった事が後から判明した。

大企業は働く労働者を虫けらのように扱う。それは昔も今も何ら変わる事がない。

なぜ、こんな事を突然書き出したのか。

昨日のニュースで全国福祉保育労働組合が9日に全国でストライキを構えると発表した。「黙ってられない!3•9福祉職員賃上げ•増員アクション」である。保育労働組合は語る「2日に国と交渉したが真摯な対応はなかった」と。

頑張ってもらいたい。働く労働者が声を上げなければ何も変わらない。心からエールを送りたい。

僕は組合を潰されたが、今でも後悔はしていない。地方に飛ばされたり、辞めて行った仲間も、決して悔いてはいないと思う。

奇しくも昨日3月8日は国際女性デーであった。保育士は女性だけではないが、多くの女性が働く職場に結婚もできない賃金で働く労働者が多数いる。

「福祉現場で働く仲間たちよ。あなたたちの団結が全国の労働者を励ますはずだ」女性たちよ、共に頑張ろう。


この記事へのコメントはこちら

メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。
また、* が付いている欄は必須項目となりますので、必ずご記入をお願いします。

内容に問題なければ、下記の「コメント送信」ボタンを押してください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

PREV:
而今
NEXT:
春爛漫