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特殊詐欺

  

一本の電話がかかった。番号の末尾は0110。「ふむ、警察か」と一瞬、日頃の行いの悪さか、かつての諸悪が露呈されるのか。

戸惑いを感じながら電話口の先からは誰々さんですよね。と私のフルネームを言うじゃないか「ハイ」と真面目に応えたのだが、「警察の者ですが、捜査の事でお聞きしたいことがある」と男の声。

「とうとう来たか、悪事の数々がバレてしまったか。」と過去の思い出が走馬灯のように脳裏を走り抜けてゆく。と言いながらも、一体何をやったんだ。全く、心当たりがない。

「へい、何事でしょうか。あたしゃ堅気となってここ数年。呑むことは飲むのだが、打つ、買うについては全く手を出しちゃいませんが、旦那、どんなことでしょうか」なんて返答を返すと。

「ところで、今自宅ですか。それとも職場で。」「仕事場でがすが」「周りに人はいますか。」と来たもんだ。「へい、旦那ここは仕事場ですから、人はいますよ」「人のいない場所で話したいのだが」と訳の分からない言葉を投げかけて来る。

「ピン、と来たね」

こりゃ、私をねらった特殊詐欺ではあるめいか。こうなれば、こちとらも策を練らなければ電話を切る訳にはいかない。

「旦那、人のいない場所ですか。そりゃ便所ぐらいでしょうかね。ただ、便所で携帯電話ってのも可笑しな行動でしょ。ハハハ」と。

「とにかく大事な話なので会議室とか人のいない場所はないのかな」と畳掛けて来る。

「そんじゃどうでしょ。そんな人のいない場所を探してこちらから折り返し電話しますよ。」その言葉と同時に電話は切られてしまった。

勿体ない、実に楽しい会話が出来たのに。先方から掛ってきた電話のくせに勝手に切るとは何事だ。と腹を立ててはみたが、よく考えると私のフルネームを語ってそして私の電話に掛けているのだから、こちらの情報が筒抜けになっている事になる。

こりゃ、油断も隙もあったもんじゃない。

二度とこんな電話は受けるまいと思っているのだが、どうか皆さんもお気を付け願いたい。


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