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映画 一献の系譜

 

150908

数日前から、「一献の系譜」上映にあたって、会場へ足を向けてもらいたいとお願いをしている本人も、9月26日初日上映を拝見することが出来た。

感無量の思いである。

米と向き合い、米と語り、麹に夢を抱き、酵母に自然の摂理を学ぶ。

6ヵ月間、一時も離れることなく蔵の中で過ごす毎日。蔵人との信頼、その裏側で家庭を支える家族とのつながり。

見習いの時に「新年を迎える直前に床屋に行ったら、滅茶苦茶怒られた」と語るその一言。それ以来、ひと時も蔵を離れたことはないと言う。親が死んだ時も、全てを取り仕切って葬儀を済ませた妻に、この人がいたから酒を絞れる。その言葉に心が締め付けられる思いがした。

「かつて杜氏は、酒絞りを失敗して自殺した人までいた」とナレーションは語る。その声がしんしんと降り続く雪渓の中に染み渡っていく。

「酒が発酵を止めた」最後の最後、これから酒を絞る直前で発酵が止まった。このままでは、丹精込めた大吟醸が水の泡である。その原因が何なのか分からない。

もう終わりかと思ったときに、醪は息を吹き返した。醪の中から、息吹のさえずりがささやき始める。その声に、杜氏の笑顔が重なって画面は、最後のシーン絞りに向く。

袋から滴り落ちる魅惑の一滴は、受け止める斗瓶の中で輝く芸術品として姿を変えた。発酵という自然の素材に、杜氏の技が重なって作品は仕上がる。

感動無くして、この世界を見ることは出来ない。

語り尽くせぬ、酒造りの妙技に、2年間共に添え続けて映像の中に治め切った石井監督に敬意を表し、「一献の系譜」に感謝したい。

新宿武蔵野館で10月中旬まで上映中。

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