夢花火 恋花火 吟醸 (代議士の娘)
パパが選挙に当選した日からうちに来るお客が全部入れかわっちゃった。ヘンなのが来るようになった。それで私は、文士ってなんていいもので、政治家はなんて下等なものだろうと思ったの。
それまでは、人が見えても、パパは会いたくないと「今日はあいたくないから」と言ったのよ。ところが政治家になったら、「いませんって断れ」というの。嘘をついているでしょう。パパはほんとうに下等になった。
代議士ってなんといやな商売だろうと思ったわ。だから、おじいちゃまも代議士だということを発見したときショックだったわ。
あの人は二階の書斎で字を書いて、刀剣に粉をふって、庭の手入れをして、とてもいいおじいさんだと思っていた。あの人までが代議士だと思ったときの世の中、本当に幻滅。
葬式は自民党葬だったんですけど、パパは元気な時、自分の葬式のこと言っている時があったの。それでこれが最後のけじめをつけるのだったら本人の言ってた通りにしたいからって私、半日、自民党幹部とわたり合ったわ。
( 中略 )
その上、焼き場でお骨拾いしながら私に立候補しろというの。私、怒って—–。
だからお葬式したという気は全然しない。もう一ぺんやり直したいと思うわ。だけど一番うれしかったのは、お断りはあったけれどと言って、志賀さんと武者小路さんからちっちゃな花籠が届いた時。
犬養道子氏「二代目の帳尻」より、1962年8月「風景」
パパは犬養健(タケル)氏、おじいちゃまは犬養毅(ツヨシ)氏。
傍から見れば羨ましい家庭も、内情は中々—–。
夏子の酒で一躍有名になった蔵元です。
庶民ならではの夕餉が酒を美味しくしてくれます。
新潟県 久須美酒造(株) 夢花火 恋花火 吟醸
精米歩合50% アルコール分14度以上15度未満
720ml 2、000円(税別)
毎回楽しみにしております。
夏子の酒・・・懐かしいですね。
日本酒を慈しむ気持ちを教えられた作品でした。
庶民 平凡 普通 が一番!・・・
ですよね!?