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ボルガ

 

「ボルガ」その店の名前を聞いて顔をほころばせる人は、さすがに年配者だけかもしれない。
新宿で、この店に来る者は役者か俳人か、はたまたそれに近い業界の方、もしくはただのオヤジ。

37年ぶりに「ボルガ」の渋みの入った扉を開けてみた。な~んにも変わっていない店に、たまらない安心感を抱く。
懐かしい古巣に帰ってきたと言えばいいのだろうか。

その場所、新宿西口ハルクの丁度裏。
以前は、ツタが店全体を覆って、これだけで店の雰囲気を醸し出していたが、残念ながらツタはわずかしか無い。
店の人に無くなった理由を聞いてみたが、何やら分からず「そうなんですよ。無くなったんですよ」と笑って済まされてしまった。

さて店に入ったら、お薦めなのが「焼き鳥」。
通は、塩で焼いてもらおう。
そうだ、この頃「焼き鳥」を塩で注文することが多くなった。「塩でたのむよ」いい響きである。。

しかもこの店。料理の大半が500円。お手ごろな値段で助かるのだが、どうもこの金額だと計算が楽なのが理由のようだ。

37年前と変わらない店内。
ハイカラな音楽が流れるでもなく、客同士が会話を交わす訳でもない。しかし、今では無くなってしまった何かがこの店には息づいている。それは、かつて貧乏学生が、語り涙流した歴史と面影を残しているからだろう。

そんな過去を背中にしょってオヤジたちが、店の扉に手をかける。

「こんな店はもう無いだろうな」と何度もため息をもらしてしまった。

「今帰ったお客さん役者さんですよ」と教えてくれたのは、30過ぎの若い従業員。
今でも、役者やその関係者は顔を出すそうだ。そう言えば、この店俳優の山本学・圭・亘の父親山本勝巳氏の設計である。店の壁には叔父さんの山本薩夫監督のチラシが貼ってあったのも頷ける。

こんなノスタルジックな店を、若者はどう見るのだろうか。そして、女性は好んでくれるのであろうか…。

二階の窓際に、一匹の猫が横たわっていた。その絵が似合うのも「ボルガ」だけであろう。

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