天ぷらワイン大塩
秋である。誰が何と言おうが秋である。
暑つい夏が過ぎてやっとの事、秋の気配が訪れた。かつて有名な歌手が「夏と冬の間に秋をおきました。だから秋は少しだけ中途半端なのです」と歌った。
「確かに」である。実に中途半端な季節ではあるが、これはこれで過ごしやすい季節だと言えないでもない。
虫の音が聞こえて心地よいと感じるのだが、実はこの虫の音を「声」として聞く民族は、日本人とポリネシア人だけだそうだ。
アメリカ人やヨーロッパ人は「ガチャガチャうるせえな」と感じるらしい。その理由は虫の音や雨音、小川のせせらぎなどの自然音は左脳で受け止めるのに対して、その他の多くの民族は右脳で処理するためにそんな風に聞こえるらしい。
日本人でよかったね。秋の夜長を雑音として受け止めたんじゃ、洒落にもなんねえ。
そこでだ。今夜は中野に繰り出すことに決めた。本稿にも中野の極楽屋について書いたので記憶も新しいとは思うのだが、今回は天ぷらで一献傾けるとした。
極楽屋のすぐ近くなので気軽に探してもらいた。店の入り口は天ぷらと言うより居酒屋の雰囲気。入りやすいのだが、時間によっては客が並んでいるので、昼食気分で行くと少々待つことにもなる。
しかし待ってでも食べたくなるのが、この店と言ってもいい。実に安い値段で天ぷら定食をいただける、しかも揚げたてを一品ごとに出されるのだから嬉しい限りである。
店名の如く、スパークリングワインを注文すれば、「二杯目から満杯で注いじゃう」と耳元で囁かれた。脳天から快感の電波が走り抜けたと思いきや二杯目を注文すると「おっと、溢れるぞ」と言いたくなる注ぎ方だ。
「素晴らしい」勿論ワインだけではない天ぷらも腹に持たれず優しく食べ進める。
店内の壁と言う壁には料理のネタが所狭しと貼られている景色は、絶景そのものであった。
天ぷらとワイン。その組み合わせに疑問を持たれる方は、一度食ってみるといいかもしれない。
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