蕎麦と割烹「いいずか」
さて、今日はどこで飲むかと歩いていると、ふと鼻先をくすぐる時がある。
店先で「おや、この店初めてだがいい雰囲気ではないか。」と鼻先のくすぐり原因が掴めて、暖簾の先を覗き込む。
カウンターには一人の初老の男性。本を片手に盃を傾けている。
蕎麦と割烹「いいずか」。小田急線新百合ヶ丘南口より徒歩3分、マプレショッピングセンタービル地下1階。
確か以前は「TOKYO RICE WINE」として日本酒をこだわりのある提供の仕方で営業をしていたが、その店が「いいずか」として新装開店したようだ。
てな理由で日本酒にもいい品がそろっている。そして刺身が旨い。四種盛りを注文したが、マグロに、鰆、イカにウニ。イカにはあら塩を振って食べてみたが、旨い事。
自家製からすみもよかったね。このくそ暑いにもかかわらず、フグのひれ酒を注文して、からすみを摘まみながら時間を送る。これって粋ってもんじゃないかね。
ふっと気付くとカウンターの客も私を真似るようにひれ酒を注文している。親近感に湧くところだが男なので声などかけない。
それにしても蕎麦屋のわりにはツマミが丁寧である。本来蕎麦屋とは蕎麦をすする前に、軽く酒とツマミで喉の流しを良くする。そして焼けた喉を冷たい蕎麦で「ズルズル」と締めるものだ。
そういう意味からすれば、この店、蕎麦屋のあるべき姿を教えている気がしてくる。
最後に蕎麦を注文したが、コシが強くて実に喉越しのいい蕎麦であった。「新百合ヶ丘にいい店を見つけたものだ」と思いながら勘定を済ませたが、先ほどの初老の客人、いまだ持ってひれ酒をすすっている。
「長っ尻は嫌われるぞ」と一言言いたかったが、大きなお世話なので、店を後にした。
それにしても店の外は相変わらず暑い日差しで、もう一軒、冷たいビールでも飲もうかと思ってみたが、「梯子酒もほどほどにしなさいよ」そんな声が聞こえて来そうなので、真っ直ぐ帰ることにした。
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