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ロイヤルウイング

 

昭和20年4月1日の夜半、日本が救援品の輸送にあたっていた「阿波丸」は、台湾海峡で米国潜水艦クイン・フィシュ号の攻撃に合い沈没した。

また、戦争の話かと気をもまれる必要はない。この、事実の題材になった「シェエラザード」浅田次郎著の本を読まれた方は、豪華客船の素晴らしさを文中から読みとることができる。

そんな、客船の旅を、ほんの少し感じてみたくて横浜大さん橋より出航している「ロイヤルウイング」に乗船してみた。

みなとみらいの新しい街並を堪能するのもまた良し。横浜港から眺め見る夜景のパノラマも心の癒しとなるだろう。

船に乗り、コース料理を味わう。それだけでなく、船という特別な環境の中で、人は何を感じ何を思うのだろうか。

大海原に漂い続け、遙か彼方の地に思いを馳せ、ちっぽけな自分を見つめる時、人は何を思うのだろうか。それが、戦争中であろうが、この平和な環境であろうが、同じ目線で物事は考えることが出来るのだろうか。

最初に言葉を添えた「シェエラザード」の作中では、船中2300人もの乗客がひしめきあっていた。
本来攻撃を受けるはずのない国際赤十字の旗が翻るにもかかわらず、2300人もの「人の楯」が必要だったのだ。

その船の蔵には、堆く積まれた物資があった。その物資の中身は…。

日本が終戦を迎える直前。大量の金が動いた。何がどのように動いたのか、その秘密資金は「M資金」として戦後の詐欺事件としても有名だが、謎の数々は今でもうごめいている。

海風を浴びながら、デッキで横浜港を眺めれば、喧噪の時間からタイムスリップする事ができる。

思うことは溢れ出るほど脳裏を駆けめぐる。

しかし、戦後66年たった今、思い返し考えることは、この時間だけで十分な気がする。

食事中、誕生日の祝いとして乗船した何組かのカップルにプレゼントが渡された。惜しみない拍手と笑顔が交差する。

そんな時間を送れる自分に感謝したい。

「ロイヤルウイング」は、そんな私にワインボトルをテーブルに添えてくれた。

赤ワインのボトルからは、海の夕日が乱反射してテーブルに長い虹のプリズムを映し出していた。

そんな色が心に染みて感じる。やはり海が、そうさせるのだろうか。

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