溝の口西口商店街に昭和を見た
街を歩くと駅前にはビルが建ち大型スーパーやドラッグストアー、そしてパチンコ屋。何だかどの駅に降りても変わり映えのしない駅前開発が行われている。実につまらないと感じるのは小生だけではないと思う。
それでも踏ん張っている街があることを見逃していた。それが溝の口西口商店街だ。先日「溝の口 居酒屋たまい本店」について書いたが、その周りを散策すれば驚きの昭和が出没するではないか。
古びた建物からはモクモクと焼き鳥の煙が充満し、店の前では立ち飲みのオヤジがネクタイ緩めてホッピーを煽る。戦後の闇市とまでは言わないが、かつて忘れてしまった飲み屋街の熱気が渦巻いている。ビールケースをひっくり返して三つも積めば立派なテーブル、肩肘ついて焼鳥かじれば、一日の疲れなど吹っ飛んでしまう。少し酔ったかなと思いきや、ビールケースがゆらゆら揺れていた。
隣の店は古書店。並ぶ本に目を止めれば、丁寧にビニールで包まれた本には初版本と書かれている。こんな店は大好きである。店主と言えば外で誰かと立ち話、こちらはゆっくりと眺め続けられるが何とも商売っ気があるのかないのか。こんな本屋が好きなものだから藤沢周平の文庫本を買って生ビールと「金運つくね」で乾杯と決め込んだ。
そうである、昭和レトロの街並みで入る先は、やはり「たまい」。店内を着物姿で走り回る女店員は、何故か若い従業員。髪型は今流行のAKBルック、でも注文するはオヤジばかり。何とも笑える光景に昭和と平成がこんがらがって330円の日本酒を4本も飲んでしまった。
もうすぐ夏が来る。夕涼みがてらの一杯にも、商店街を涼しげな風が通り過ぎるのだろうか。そんな時期にもう一度歩いてみたいと思う。しかしながら、まだ「金運つくね」の御利益はいただけていないのが残念である。
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