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かくてあたしは酒の虜に。

  

何十年も前の話です。

幼少の頃、あたくしも何て事のない家庭の中で育ちました。

ただ、我が家では、子どもに酒粕を焼いて食べさせたのです。これって、普通の家庭では当たり前と思っていたのですが、そんな家庭は少ないようですね。

ストーブに上に、網をのせて。酒粕のあの薄い一枚一枚を網の上に並べるのです。時間と共にほんの少し膨らみながら焦げ目がつきます。ひっくり返して、またまた焦げ目が付くのを待つのです。

その時間が、なんともいじましい。待ち遠しい時間と一緒に部屋の中には日本酒の香りと焼け目の香りが「ふわ~」と広がるのです。

あっちっちのまま、焼いた酒粕に砂糖をのせてピザを食べる要領で口に運ぶのです。

「うっま~」日本酒が口に広がる醍醐味を、小学生の時から味わっていたのです。

所がこれも、だんだん慣れて来ると、酒粕もお酒が充分浸っているのを買ってくるのです。つまり、べちょべちょ感が強いやつ。

これを、レアーでいただくのです。半分生ですな。焦げ目を少し、あんまり長く焼くと焦げ目が網にくっついちゃう、そこが難しい所。

その、レアーな酒粕をいただくのです。通でんな。

あっちち、と焦げ目、そしてレアーな旨さ。これは、我が家の、ご馳走でした。

所で、先程も書きましたし、大人になって知ったのですが、これって、一般家庭ではあまり食べないそうですね。何て寂しい幼年時代を送っているのか…。

さて、そうして鍛えられた酒根性は、そのまますくすくと成長するのです。

ですから、正月に父親が御神酒として日本酒をお猪口で飲ましてくれるのですが、量が少なくて「親父返杯だ」と言いたい気持ちを押さえて幼年期を送ったものです。

はっきり言って、高校時代に友達と酒飲んで、負けた事はありませんでした。

そう言えば、大学に入って、某クラブの合宿で、4年生の先輩がこのあたしを潰そうとして「飲め飲め」と飲み続けたのです。

最後の一人になったのは、あたしですから「こんな酒の弱い奴と一緒にいられっか」とクラブを辞めたは当然ですね。

あ~、人生っておもろいでんな。


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