こんな酒飲みにゃ、なりたくない。
以前に、知人と数名で飲み会に行った。
ちょっとした打ち上げで、知らないメンバーも混じっていたのだが、一人ワイン好きな奴がいると聞いて「いいワイン飲ませてよ」と気軽に声を掛けてしまった。相手もニコッと笑顔で挨拶交わしたのである。
しかし、これが運の尽きだった。
結構いい店で、コース料理かなんか出てきて、それじゃワインでも頼もうかと話はトントン拍子。当然の顔して、その一人が声を発した。
「どこどこの××ある」と言うじゃないか。何だか、わかんねえ名前を並べる訳だ。店の人も「メニューを指さし」ここに書いてあるワインが、と言ってるのに「ペケペケのポコポコは?」って聞くわけだ。
あたしは、カチンと来て「メニュースの中から選んだら」と優しく言うてやったのさ。
ムッとした顔をされたが、そんな事は関係ない。こちらは飲みたくて仕方がないんだ。事と次第によっちゃ、頭ひっぱたいてやろうかとも思ったが、それは大人の世界、ぐっと堪えてワインの到着を待った。
テエイスティングだとかで、その奴が最初にウンと言わないとワインが来ないじゃないか。「てめ~。夜道は気をつけろよ」と心の中で呪い続けてやった。
やっとワインが注がれて、それでは乾杯。と飲もうとした途端、ストップがかかった。
すぐに飲むと不味いと言うのだ。「ななな何!」あたしゃ、犬じゃないんだ「おあずけ」と言われて待ってられっか。
中には、「ふ~ん。そんな物なの」と感心する女まで出やがって、「おい、そこの女」と言いたかったが美人だったので、グッと堪えたのは、やはり大人の対応だろうか。
しばらくお預けくらって「グイっ」と飲んだら、どこが美味いか全く分からない。ところがどうだ、そのワイン野郎は、酸味がどうのとか、何だか分からない言葉を立て続けに語りやがって、「あ~胸くそ悪い」。
あたしはワインなんてうっちゃって、小瓶の300㏄の日本酒をガンガン飲んでやったのだ。
さて、会計の段になって驚いた。
ワイン野郎が注文したワインが、1本8000円も9000円もするじゃないか。
「あのワイン野郎に払わせろ」と声を上げそうになった時、幹事の奴にとんでもない事を言われた。
「日本酒結構飲んでましたからね」と、会計の値段が高いのは、あたしのせいとばかりに言いやがった。
「ゲゲッ何、この会計が高いのは、あちきの責任?」
「クククッ」っと込み上げる怒りを胸に押さえて、ズタズタにされた心をいたわりながら帰路についたのだ。
しかし、何である。
「知ったかぶり」とは、鼻につくものである。あたしも気をつけないと…。
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