下北沢 居酒屋 燗味処
下北沢の街は大きく変わった。駅全体が変わったために、ホームから改札までの導線が分からない。外に出たら「あれ、ここは何処だ」と一瞬首を傾げてしまう。それもそのはず、10年以上も足を運ぶことなく、タイムスリップした感覚で駅周辺を見渡しているのだから分かるはずがない。
一歩踏み出せば若者で一杯である。右から左から我が人生の半分も生きていないかと思われる男女がすれ違っていく。目が疲れる。
それでも、酒の匂いは鼻をくすぐる。
居酒屋燗味処。下北沢駅から2分という好立地の場所にあるので、疲れが溜まる前に酒にありつける。席に着けば一安心である。
さて、この店の名前。燗味処とは洒落の効いたいい名だと思わないだろうか。名前の通り、燗酒で勝負を張っている。そのお燗番、まだ若いおかみさんが鼻と湯気で酒の温度を確かめるとなると、こりゃ一言書かない訳には行かない。
どうだろう、一度自分の家でやってみてはどうかな。燗の温度を目と鼻で測る。これ、なかなか思うように温度を調節出来ないものである。まさに、酒を愛し続けた技としか言いようがない。
そのおかみさんが、まず最初にお通しと共に酒を添えてくる。人肌の酒が静かに流れ込む。寒さで震える体に、優しく包むような温度で燗がついている。「旨い」いや「上手い」。
料理はコースで頼んだので、自然とテーブルが埋まっていく。お通しの椀物、小鉢物、ゆっくりとした時間に5品の品々が運ばれてくる。勿論酒もお任せでお願いすれば料理と併せて燗がつく。
福岡の「独楽蔵」が静かに出された。香りの立ち上がりが好きな酒である。そして最後に締めたのは「神亀」やはり燗酒が実に似合う酒である。その味は好みを二分するかもしれないが、「いい酒だ!」と唸りたくなる大人の酒だ。
下北沢に新たな空間を発見する事ができた。
そうこうしている内に、しこたま酔って、次の店へと足は向いていた。
家にたどり着けば、後半飲んだ二件目の記憶がすっ飛んでいるので困っている。あ~、正直に書こう「今日は酔っぱらった!」
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