鎌倉「酒采 企久太」
この頃、やたらと鎌倉に心が向いてしまう。先日も、葉山まで足を延ばしたが、結局帰りには鎌倉で一献傾け、いつものパターンで落ち着いてしまった。
そんな鎌倉の中で、ゆっくり日本酒を味わえる店が、あるようで無いのである。今まで、いくつかお店も書いたが日本酒が飲めて「この店はいい」と薦められるのが見つからなかったと言い訳させてもらいたい。そしてやっと見つけたこの店、「酒采 企久太」は決して外さない店である。
ただ、場所の説明が少々難しい、鳩サブレの豊島屋本店の裏、と書いとこうか。店は2階だが、一階にも看板が出ているので見落とすことはないと思うが、まあ探してもらいたい。
暖簾を潜って、店に入いれば目の前にテーブル席。厨房の前にはカウンター、そして窓側には座敷席も構えている。そんなカウンター席に付くと同時に「海が時化て今日は魚が入らなくて」と語ったのは女将さんだろうか。確かにメニューの魚にはヒラメしか書かれていない。
「じゃ、えんがわのポン酢和え」と頼んで四国の司牡丹「一蕾(ひとつぼみ)」を頼んだ。恥ずかしい話だが、この「一蕾」初めて口にしたのだが、実に綺麗なバランスの取れた味わいに頬が緩んでしまった。店で最初に味わった酒が旨いとそれだけで、満足してしまう。
その「一蕾」の裏ラベルには「手から手へ一蕾のついた一輪の花を優しく手渡すようにお届けすることを約束する」と書かれている。その思いは十二分に受け取ることができた。この酒、実はなかなか手に入らないそうだ。
そんな貴重な酒を口にできるのが、「酒采 企久太」と書かせてもらう。
その他にも幾つか地元の日本酒も楽しめる「天青」「泉橋酒造」の酒も味わってみるのもいいものだろう。肴も一味違う大人の手を感じる仕上げになっている。
この店。近けりゃ、毎日行ってしまうかもしれない。どうだろう、一度は暖簾を潜ってみたいと感じて貰えただろうか。
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