新百合ヶ丘 「一汁五菜」
小田急線新百合ヶ丘駅下車。北口をほんの少し、世田谷通りに向かってもらえれば右手の奥に「一汁五菜」この店と出会える。
この頃「いい店だな~」と心から思える店を探し続けている。酒の醍醐味は料理とのバランスである。旨みが広がる酒の妙技に、料理の味わいが交差してこそ感動が加わるものだ。
その点、この店は充分期待に応えられる。
料理はコースで頼んだほうがいいと思う。一汁五菜の名の通り、前菜から始まってメインの料理まで、季節の食材を唸りながら味わうことが出来る。
酒は奈良県の「風の森」をお薦めしたい。この風の森を醸す油長酒造は、濾過をせず割り水も行わない生原酒で出荷しているので、香り高い旨みの強い味わいで楽しむことができる。
料理と酒。このコンビが揃えば言う事はないが、実は、この店。グルメ情報のガイドブックとして知られる「ミシュランガイド」に導入された「ビブグルマン」に選ばれているのだ。
「ビブグルマン」とは、星の評価からは外れるものの、安くておすすめできる店舗に与えられる印なのである。5,000円以下(サービス料、席料含む)で食事ができる、「ビブグルマン」であるからこそ、庶民の願いと懐具合が合致する訳である。
元来、料理も酒も値段が高くて旨いのは当然である。何万円もする酒も確かにあるが、酒は元来庶民が楽しむものだ。高級料亭で一合数千円もする酒など飲みたくもない。「一汁五菜」は決して高ぶらない、庶民の舌に合う料理を提供してくれる。この手の店は大切にしたい。
そして、何よりこの店の素敵なところは、会計の時に一枚のメモが渡される。会計の金額と併せて可愛らしいメモ用紙に、手書きの文章が添えられているのだ。
紹介して締めとしたい。
「本日は天候の悪い中ご来店下さいまして誠にありがとうございました。コースの料理はお楽しみいただけましたか?次回のご利用もスタッフ一同心よりお待ちしております」
最後に小さなハートマークが添えられていた。おじさんはこの手の丸文字に「弱いのだ!」
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