大地の恵み 北海道
犬も歩けば棒に当たる。酒飲みも歩けば酒場にあたる。しかも、旨い店は鼻で感じる。
新宿歌舞伎町、東宝ビル。行った人はすぐにわかるが、ゴジラがビルの屋上にくらいついている、そのビルである。年配者には元コマ劇場跡と言ったほうが理解しやすいかもしれない。
そんなゴジラの睨むビルの一階には何店舗かの店が入っている。その一角、「大地の恵み 北海道」がある。間違ってもいけないので、あえて注釈すれば、あのチェーン店の「北海道」とは違うのでご注意願いたい。
この店、魚が旨い。蟹なんぞは実際に現地へ赴き、目利きの業者から蟹を買い付けているそうだ。であるから旨いのは頷ける。野菜も北海道の各ファームからその時期のおいしいものを仕入れるそうなのだ。と、当たり前のように書いているが、これがただの宣伝文句ではなく、味と値段は納得できる。
そしてこの店のいいところは、「昼飲みコース」があるのである。昼間、堂々と酒が飲める。これって、あるようで無いのが昼間から飲める店なのだが、そんな経験って無いだろうか。ご同輩と一緒に「昼飯と一緒に酒でも飲むか」と思っても、さて昼間っから飲める店ね。と探してしまうものである。であるから、こんな店を一件知っているだけで無駄な探索をしないですむことになる。
さて昼間午後2時、本日の注文は刺身の盛り合わせから始めるとした。そして白菜の山ワサビでツーンと頭に刺激を送り、塩水雲丹は最後の仕上げと決めた。酒は旭川の高砂酒造「国士無双」をぬる燗でいただけば、「あ~っ」とため息がもれる。
いい気分になって支店長とも話が弾んだ。スマホでアプリを取って会員登録までしたのだから、また行かなければ男がすたる。
飲み終えて外に出ると、まだ太陽がサンサンと輝いていた。ゴジラもあきれ顔で牙を向いている。そうは言っても昼間の酒は、少々恥じらいを感じる。
「まだ飲みが足りないからだろうか。」
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