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僕のあのアンパンどうしたでしょうね

  

とうとう事件が勃発した。あの映画「人間の証明」の有名な台詞「母さん、僕のあのアンパンどうしたでしょうね…。」

そうなのである。僕が購入したアンパンが突然我が家から姿を消したのである。「バカバカしい」と思われた方、それは違うぞ、自分で購入した物が突然姿を消したらそれは驚くだろう。

たとえアンパンだろうが、毛生え薬だろうが、自ら大枚はたいて買ったのだから金額の多寡ではなく、忽然と行先が分からなくなれば不安になるだろう。

探した。菓子箱の隅から、冷蔵庫や靴箱の中だって探し続けた。でも見つからない。

「あんた食べたんじゃないの」と実に不穏当な発言が飛び出してきた。正直、小声で囁くが「犯人は、その女ではないかと疑っている。」そこで、あくまでも任意ではあるが事情聴取を試みた。

「昨日の何時何分ごろ。貴女はどこにいましたか。」「何言ってんのよ。あんただって知ってるでしょ」と実に高飛車な言葉が返ってきた。それ以上の追及は令状が取れないので「すんません」と謝って任意の聴取は終了した。

しかし、探しに探していると不思議なもので「自分で食ったんじゃないか」と我が身を疑う気持ちが湧いてくる。よくあるじゃないか、自白の強要を迫られると「もしかすると…。」と罪を認めてしまう。そんな心境だ。

ただ、僕にも言い分がある。実は購入したアンパンは2個買ったのである。なぜ、2個かと言えば一つは粒餡。そして行く先知れないアンパンはこし餡なのである。

確かに粒餡のアンパンは僕が食った。記憶も新しいし証人もいる。しかし、こし餡のアンパンは食っていない。これは断言できる。なぜか「こし餡はあまり好きじゃないんだ」。だから、そう簡単には食べない。これが理由だ。

しかし、その理由に説得力がないために「あんたが食ったんだよ」と執拗に自白の強要に迫られる。こうして冤罪事件が起きるのだ。と、腹の中で無罪を主張し続けたが、いまだ持って事件は解決していない。

きっと、突然タンスの横あたりから干からびたアンパンが転げて出て来ると思っているのだが、しかし、実に変な事件だ。


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