街中を歩いていたり、電車に乗っていたり、はたまたスーパーで買い物をしていたり。そんな日常生活の中でも面白い出来事は結構あるものである。

先日も、とある電車の中で実に様子のいいジェントルマンと出会った。年の頃なら60歳前後であろうか、服装はアルマーニのスーツで決めている。

アルマーニそれはソーホーラインの洗練されたスーツ、モダンな雰囲気が際立つアイテム。千鳥格子をあしらったそのスタイル。シングルブレストジャケットが夏の暑苦しさを感じさせない。

と書いてみたが、そのスーツをアルマーニだと分かる自分も素晴らしい。と褒めておこう。

そんな年齢の男性がスマホを眺めながら車両の揺れに身を任せている。ところで、こちらの服装はどうだ。ジーパンに丸首のＴシャツ。どこから見ても爺だ、褒めるところはどこにもない。

似ているところは眼鏡をかけていることぐらい、いやいや相手は髭を生やしている。中井貴一の如くだ。「こちらは？どうでもいい」

年齢的には大して変わらないだろうが、人となりは格好いいにこしたことはない、ダンディーに生きたいものだ。きっとこの手の人は弁舌もあざやか、余暇の趣味もちょっと違うんだろうな。ヨットに乗っちゃったりして。

「はははっ」って笑っちゃうよね。こちとらとは全然違う世界の男だろう。

飲み物だって日本酒は飲まないな、きっとワインやウイスキー、ブランデーなんて飲んだら話しかける事も出来やしない。

そうそうスマホだって覗いて見ている中身が違うぞ、株式の動きなんか見たりして、下世話な芸能情報なんて絶対見ない。きっと品が違うんだよな。

そんなこんなで時間は過ぎたが、突然この男性の隣の席が空いた。判断迷わず、隣を陣取ったが、好奇心一杯の私はついぞスマホを覗き込んでみた。

あらら、ええ、そんな…。

何と見ていたのはYouTubeで物真似芸人のコロッケを見ているのではないか。いや～、笑っちゃうね。人の成りで判断しちゃいけない。

アルマーニを着ようがＴシャツ着ようが面白いものは面白いのであって、思わず肩叩いて「おっさんいいの観てるね」と声かけたくなった。

降りる駅が違わなかったら、「なあ、一杯やりに行かないかい」と声をかけているところだった。