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梅酒と梅干

  

突然だが、梅酒の梅は食するものか。と単純な発想が生まれた。と言うのも、梅干を焼酎付けにしたその在庫の梅干を食べない人がいるのに、少々驚きを感じたのだ。

下戸ではないのに、梅酒は作るが残った梅干は食べないって話、勿体ないと思わないだろうか。

かつて幼少のころ、この焼酎で漬けられた梅干を食べるのが、何よりもの好物であった。親も梅酒は飲ましてくれなかったが、梅酒の梅干を食べる事には抵抗なく許したものだ。然るに、子どもの頃からずっと酔っぱらっていることになる。

実は、その梅酒梅を食べないという方から大量の梅酒梅が送られてきた。「食べないなら頂戴な」との言葉に応えての宅配便と相成ったわけだが、嬉しい限りである。

冷蔵庫の奥にはゴロゴロと転がる梅干たち。食欲をそそるし、酒を飲んではいけない禁酒デーにはこの梅干をちゅっちゅとすすっては飲んだ気分になってみたりしている。

そこで考えたのだが、梅酒梅を一度に何個食べたら酔うのだろうか、と実験を試みる事にした。

目標10個。4個や5個では何の変化も感じないだろうから、10個いっぺんに食べたら多少は酔うのではないかと思ったのである。

1個2個3個と食べるうちに、ほんのりと焼酎の旨味が口に広がる、6個7個では、まだ変化を感じない。されど、到達点10個を完食すると「あれ、いい気分だぞ」こりゃいかん。梅酒梅でも酔うんだと実感したのであ~る。

何とも可愛いい話じゃないか。梅酒の梅で酔うとはね~。

そんな実験場に突然家人が現れた。「な~に、やってんの。何なのそのゴロゴロと転がっている種は」「梅酒の梅を食べた残骸だよ」「へェ、幾つ食べたの」「10個!」

その後の会話の数々は、あまりに馬鹿らしいので書く気にもならないが、何とも我輩には納得いかない発言が飛び出した。

「あれ、今日は酒を飲んではいけない日じゃないの?」

「酒なんか飲んでないよ」

「ケケケッ、梅酒があるじゃん」

「なに、酒は一切飲んではいないよ。梅酒の梅を食っただけだから…。飲んではいないよ、食ったんだよ」


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