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きき酒師 肺炎となる

  

時は一年前、肺炎になった。この手の病気書き込みは高齢者の雑談のごとく、話の最初から最後まで病気の披露で終了するという、聞くものに取っては面白くも何ともない内容になりがちだが、このコロナ禍の中、少しでも参考になればとの思いで書き連ねる。

咳があまりに酷く、熱もあるので、コロナではとかかりつけ医に連絡すると、裏口から入ってくれと言われ、色気もそっけもない部屋に通された。医者は聴診器をあてることもなく、総合病院に行って検査をしろと言うではないか。しかも私との距離は3メートル以上離れているだろう「紹介状を書くから」と、何だか手元から離れるのが嬉しそうに総合病院に舞台は移された。

事前に連絡していたせいか、病院の外に設置されたテントの中で検査が行われる。まずは、コロナかどうか、それから内科の検査となるようだ。何だか宇宙服のようなブカブカの恰好をした看護師さんに指示させ「鼻の穴に入れますからね。ちょっと痛いかも」と言い終えるやいなや、ぐりぐりと綿棒が脳天近くまで入れ込まれてしまった。

「脳みそが漏れる」と言いそうになったが、宇宙服の目元から垣間見る、美しい看護師に笑われたくないので涙を溜めて我慢をすると「隣の鼻の中にも入れますね」ときたものだ「いや、勘弁して」との言葉も言えずに問答無用に押し込まれ、ぐりぐりぐりと綿棒は回転する。確実に脳みそまで届いたはずだ。

イントロが長くなったが、結果、陰性と分かり、やっと病院の中を闊歩して歩ける権利をいただいた。

さて、これからが本題だ。呼吸器内科で暫く待たされて診察室に入ると、何とも小柄でボーイッシュな女医さん。ベリーショートの髪が可愛い。と思いきや「PCR検査は陰性、インフルも陰性。こりゃ良かった」とまあ簡単な一言、しかも大股開いて「咳が酷いんだって、レントゲン撮ってみようか。それからだね」だそうだ。

「人は見た目で判断しちゃいけない」昔の人はよく言ったものだ。レントゲンで上半身半裸状態にされ、右や左や背中まで撮影されたが一度もピースする機会が無かったのが残念である。

それからだ、延々待たされること40分。診察室の前で待っている人など誰もいないのに、何故か呼ばれない。ゲホゲホと咳は続き、ここで倒れてやろうかと思いきや声がかかった。

診察室の中では先ほどのボーイッシュな先生が、やはり大股開いて「肺炎だね。」と宣告される。「肺炎ですか」「そう」何とも簡潔な会話で面白くも何ともない。「ほらここの影白くなっているだろう」これが肺炎だそうだ。

だが、よくあるじゃないか。テレビのニュースで「何々さん。肺炎のため亡くなりました。当年何十何歳。ご冥福を」そうかこれから入院かと思いきや「入院ですか」と聞けば「大丈夫よ。帰っていいよ」と来たものだ。何、肺炎の高齢者を帰すんかい。

「ただね。ここの奥にも影があるだろ。これがね~?」と先生。「ね~?」と疑問形にするのは止めてもらいたい。医者が首を傾げるときに、いい事にあったためしがない。「う~ん?」お願い疑問形は嫌いなんだって。

結局一か月間の様子見で診察は終了した。「肺炎」と診断されたが、「咳はどれくらい続きますか」と聞くと「当分続くね」とまあ梅雨時の天気予報みたいな回答を残して診察室から追い出された。

その後の経過は良好で、一か月後も順調に影は消えていた。

病院も面白い先生にあたると、結構悪くないなと感じる今日この頃である。所でどこまで読んでも参考にはならない内容だが、まあ、ご勘弁願いたい。

さて今夜は何を飲もうか。


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