吉田拓郎「ah-面白かった」
吉田拓郎が52年の活動に終止符を打つべく最後のCDを発売した。実は音楽の内容をここで記するつもりはなく、CDのジャケットに付属している冊子、つまりライナーノートに書かれる解説文が実にいいのである。
本人が、その曲の背景や思い入れ、そして時の流れを文章に託して歌詞とは違う文字になっている。句読点など殆ど無く、だが詩とは違う生涯の思い出となる文章がつづられている。
その人柄と心の葛藤が、私の好きな文章になっている。
私より少々年は上になるが、出来るものなら一緒に一杯飲めれば楽しい時間を送らせてもらえただろうと感じてしまう。
一曲だけ曲の紹介をする。7曲目の「雪さようなら」は小田和正との共演だ。その曲は、小田ワールドで覆いつくす一曲に仕上がっている。
アルバムのタイトルは「ah-面白かった」。
自分の音楽人生に、そんな言葉を贈りたかったのだろう。面白かったと思いながらギターの弦を爪弾き、片手に持ったグラスを傾け、ほんのり酔って曲を奏でる。
年を取って人生を振り返る「ah-面白かった」と言える彼に称賛を贈りたい。
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