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飲み過ぎにはご注意を

  

酒を飲んだ上の醜態は数々あれど、やはり特記すべき事柄は幾つかある。それも読者の方々が参考となれば、との一念であえて書かせてもらう。

時は深夜。友人たちとしこたま飲んでお開きとなった後も、我が相方はテレビを観ながら飲酒を続けている。

「先に寝るよ」と声を掛けても、虚ろな目をパチパチさせながら片手で敬礼の姿勢。これはヤバい状態だぞ、と思いつつも面倒なので寝室へと向かった。

数時間経っただろうか、相も変わらず隣の部屋のテレビの音は鳴り続けている。「早く寝なさい」と優しく声を掛けるつもりで部屋を覗くと、体たらくな格好でソファーに横たわっている。

近づいて覗き込むと、何と口から泡を吹いているのだ。ややや、ヤバい。泡を吹いているとは毒殺か。しかも玄関のカギはかかっている、密室の殺人か。となると第一発見者の私が有力なる容疑者となる。

「私は無実だ!」口から泡となると青酸カリによる毒殺かもしれない。2時間ドラマの殺人現場では青酸カリによる毒殺の場合、アーモンド臭が漂うはずだ。

しかしその兆候もない。

近づいて顔を覗けば、いびきが聞こえた。な~んだ、生きている。ただ、倒れていびきとなると脳卒中の症状に似ている。これは動かさないほうがいいと判断、救急車だ。119番通報しか道はない。

取り敢えず電話だ、電話。

とスマホを取り出し、電話しようとした時、突然寝言が聞こえた「〇×※▼…!」何を言っているのか分かりはしない、「そうか、死ぬ間際の遺言か」口元に近づいて「通帳はどこだ。隠した金塊はあるのか。」まだ死ぬな。全て伝えるまで死ぬな。励ましつつ耳を口元に近づけると、「はあ?」「ミントの香りがする」何故、この場に及んでミントの香りがするのだ。

あに図らんや、ソファーの下に転がる歯磨きの無残な姿。「なな何と、口の泡は歯磨粉かい…。」

どうか皆様、くれぐれも歯磨きしたまま寝ることなく。

お身体は大切に、飲み過ぎには充分ご注意下さい。


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