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あざみ野うかい亭

  

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「こんな静かな住宅街の一画に」と、目を疑うような別世界がそこにはあった。

あざみの駅前から坂道を登って、本当にこんな所にあるのだろうかと心配になりながらも目に留まったのが「うかい亭」の建物である。たまには贅沢をして牛のサーロインステーキで一杯やりたいものだと年齢相応の店でディナーとかこつけた訳だ。

入口から待合室に通されたが、実にゴージャスな雰囲気に「いつもの居酒屋とは違いまんな」と心の中で動揺しながらも、何食わぬ顔で案内されながら「いや~、場違いな所を予約してしまったぞ」と後悔がつま先から脳天に突き抜ける。

そもそも、何故このような高級店に足を踏み入れたのか。それは一途に鉄板の前で料理人さんが「ジュ~っと」焼いてくれる、あれがやりたかったのだ。

かつては身近な場所で手頃な料金で「ジュ~っと」してくれる店があったものだが、この頃は鉄板とくればお好み焼きか焼肉屋しか頭に浮かばない。同じ肉でも霜降り肉をワサビで食する、そんな時間があってもいいのでは、と貧乏人が背伸びをしてしまった。

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いやはや、前菜から始まって、うかい特選牛サーロインステーキに到達するまで「旨い事、旨い事!」ちょいと値の張るワインをボトルなんぞで飲んではみたが、ワイングラスに自分で注ぐのではなく、常に後ろから黒い服を着たお兄さんがピロピロピロと注がれるのだから、何だか尻が痒くなりそうな時間を過ごしてしまって、こりゃビックリ仰天だ。

しかも、しかもですぞ。デザートは別室で用意されてるのだから、恐縮至極の接待にため息が漏れてしまう。さらにデザートのアイスクリームをちびりちびりと舐めていると、「お飲み物は」と小粋に尋ねられる訳だ。そこは見え張って「ウイスキーある」なんて言ったもんだから大変である「響をご用意しましょうか」と来たもんだ。「響と言えば高いじゃない」と心の中で叫びながら「うん」と頭を下げてしまったのが運命の分かれ道。

最後に若いお姉さんにお庭まで案内されて帰路に着いたのだが、財布の中のレシートが、心臓に小さな棘を喰い込ませているのである。その紙っ切れが、実に憎らしい。

ただ、この店。実にいい店だ。

金額は仕方ないだろう。そりゃ、いい思いもした訳だから。そして心に誓うのである。「是非もう一度足を運びたい」と切に切に心の中で「響く」のである。


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