「みいらとり」で一席お付き合い願えれば…。

さて、大型連休も週末を迎えるのでしょうか。羨ましい限りであります。こんな時は、真面目にお酒の話を書くより、いつもの落語ネタをご披露しましょう。
今日は、「みいらとり」のはなしを一席お付き合い願えれば…。
道楽者の若だんなが、今日でもう四日も帰らない。
心配した大だんなが、番頭の佐兵衛を吉原にやって探らせると、江戸町一丁目の「角海老」に居続けしていることが判明。
番頭が「何とかお連れしてきます」と出ていったがそれっきり。五日たっても音沙汰なし。
鳶頭、「何なら腕の一本もへし折って」と威勢よく出かけるが、これも帰らない。
「どいつもこいつも、みいら取りがみいらになっちまいやがって。今度はどうしても勘当だ」と大だんなはカンカン。
「だいたい、おまえがあんな馬鹿をこさえたからいけないんです」と、夫婦でもめていると、そこに現れたのが飯炊きの清蔵。「おらがお迎えに行ってみるべえ」と言いだす。
「首に縄つけてもしょっぴいてくるだ」と、手織り木綿のゴツゴツした着物に色の褪めた帯、熊の革の煙草入れといういでたちで勇んで出発。
吉原へやって来ると、「番頭さん、あんだ。このざまは。われァ、白ねずみじゃなくてどぶねずみだ。鳶頭もそうだ。この芋頭」
「こりゃあ、お袋さまのお巾着だ。勘定が足りないことがあったら渡してくんろ、せがれに帰るように言ってくんろと、寝る目も寝ねえで泣いていなさるだよ」
と泣くものだから、若だんなも持て余す。
とうとう若だんなは降参。
一杯のんで機嫌良く引き揚げようと、清蔵に酒をのませる。もう一杯、もう一杯と勧められるうちに、酒は浴びる方の清蔵、すっかりご機嫌。
「おいおい、清蔵、そろそろ支度して帰ろう」
「あんだ? 帰るって? 帰るならあんた、先ィお帰んなせえ。おらもう二、三日ここにいるだよ」
「みいらとりがみいらに……」 そんなオチで、お時間のようで…。
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