>自動翻訳機能について

渡辺酒造店「蓬莱(HOURAI)」

  


飛騨古川駅に降り立つ。

静かな街並みを散策すれば、どこからか甘い米の香りが漂ってくる。遠くに、湯気立つ先に蔵が目に止まる。

そこが渡辺酒造店である。正面に回れば、「世界酒蔵ランキング 世界第1位受賞」と大きな幟が店の前に構える。

その世界酒蔵ランキングとは、その年に開催された有力な日本酒コンテストの受賞実績をポイント化して酒蔵ごとに集計し格付する。そしてプロフェショナルな専門家がブラインドで審査をする。

そんな方法でランキングを付けるわけだ。

さて、その味は如何なものか。蔵の中に足を踏み入れた。若い女性店員さんが快く迎えてくれる。「試飲できますか」そんな厚かましい言葉に「どうぞ、どうぞ」と、まあ素敵な回答いただいて「では、では」。

朝の早い午前中にもかかわらず小さなカップに日本酒が注がれる。純米吟醸「蓬莱」から始まった。香りが最初に広がって、爽やかな清々しさを感じる。涼やかに旨味が広がって鼻の奥に余韻を溜める。いい酒である。

そして、昨日も祭りの中で飲み続けたどぶろくに近い「とろとろとろ」秋の濁り酒に手を掛けた。蓬莱と言えば「飛騨のどぶ」が有名だが、今回はちょっと嗜好を変えて「とろとろとろ」を試飲する。

これもたまらない旨さだ。おりがらみより更に荒く絞っているのだろう沈殿した「おり」がたっぷりと含まれているため、旨味が前面に出る。これも絶品である。

さらには、「赤磐セブン」そして「非売品の酒」などなど、頭を下げながら試飲を続けさせてもらった。勿論、無料での試飲、その心意気に乾杯である。

高山近辺で酒蔵を何件か歩いてみたが、試飲有料の文字があちらこちらで目に止まる。別に金を払うのが勿体ない訳ではないが、ちょっと足が遠ざかってしまう。

それにしても渡辺酒造店の酒は本当に旨かった。私たちは「日本で一番笑顔あふれる蔵です」と銘打っている言葉通り、笑顔を膨らましながら蔵を後にした。

そして手元には購入した酒が二本、静かに揺れている。


この記事へのコメントはこちら

メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。
また、* が付いている欄は必須項目となりますので、必ずご記入をお願いします。

内容に問題なければ、下記の「コメント送信」ボタンを押してください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)