いい店「とん鈴」秋の風
いい店との出逢いは、喜びそのものです。旨い料理、そして旨い酒その二つが調和してさらなる感動を伝えてくれます。
そんな店は「とん鈴」です。以前にもお店紹介で小田急線柿生駅前の「とん鈴」は紹介させてもらいましたが、改めての登場です。
昨夜の対応は絶賛したいですね。まず、お酒の選定が実に巧みでした。
最初のお酒は佐賀県「七田」からスタートです。味のふくらみとキレのいい味わいが、料理ともマッチします。
「吟醸香の強いのがお好きでしたね」と、用意されたのが長野県「和和和」純米吟醸です。
これが、実に旨い。私も初めて口にする「和和和」は、まさに酒のイメージを一歩別世界に飛ばしたような思いです。
お酒を選んでくれるのは、店の若主人。お酒の表現を何と言ったと思いますか。「四次元の感覚で味わえる」と…。
好きですね。こんな表現でお酒に深みを添えてくれる人は、そうはいないと思います。
そして次のお酒は、神奈川県「相模灘」特別純米酒。
神奈川県相模原の久保田酒造は米の旨味を大切に、甘味と酸味のバランスの取れた食中酒を造っています。
しかも、若い30代初めの杜氏が頑張っている酒蔵です。これも、料理を邪魔しません。
そして驚かされたのが石川県「遊穂」純米の生。まずは、冷やで…。これが格別の味わいです。
次にお燗で、思わず叫びました。「旨い」これは「旨い」生酒の香りがクリーミーな味に変化して、見事な燗付けです。
さあ、ここまで来ると興奮は絶頂です。酔いにまかせて若旦那に一言「あんたはエライ」。
しかも、この間お酒に併せて注ぎ方を変えてきます。銀スズの口の広い容器はキンキンにお酒を冷やしてくれます。
木枠のお燗容器にお銚子を入れて氷が入る。そんときゃ「粋だね」と手鼻を切りたくなりました。
どうです、飲み手の感情を見事にくすぐります。酒飲みの痒いところに手が届く、そんな対応です。
ここまで、書けばまさに「褒め殺し」状態。そこまで言えるのが若旦那の対応でした。
鯛の甲煮もいい味でした。刺身も酒には最高です。一口カツを頬張りながらの燗酒も、これが合うこと…。
一口カツを食べながら「そうだ、ここはとんかつ屋さんだ」最後に思い出した1時間半。
いい店との出逢いは嬉しいものです。秋風が火照った体に、優しく上着を添えてくれました。
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