すし処 潮り(しおり)
たまには大人の行く食事処に足を向けたくなった。子どもや、若者には敷居が高いだろうが、そんな空間も年齢を重ねた上での時間かもしれない。
本日ご紹介するのは、小田原すし処「潮り(しおり)」である。
今回も箱根「天山」で、ゆっくりと身体を休め、昼には軍鶏鍋と日本酒で心を落ち着かせ、夕方日の落ちたところで寿司を選択した。
小田原駅東口おしゃれ横丁をくぐってもらえれば、その店が目に留まる。昨年オープンしたばかりで、店内も綺麗な明るさと清潔感が漂う。そして料理もなかなかなものだ。地元小田原漁港から水揚げされる地魚はもとより食材はすべて漁師や産地から直接仕入れる「天然もの」。
さらに、このこだわりが気にいった。醤油が刺身用と握り用で使い分けるのである。どうもただ者ではない。
そしてガリ。甘酢の切れ味に加えて細く切った大葉を絡めてある。ガリだけで酒の肴になりそうだ。刺身も金目鯛の皮面を軽く炙って塩でいただく。皮の香ばしさが広がって「旨い」。揚げ物は河豚、ほっこりと身が膨らんで油のくどさを感じさせない。見事な仕上げだ。
極めつけは酒である。60種類はあるのだろうか、メニューにはずらずらと酒の銘柄が並び続けている。一瞬、こんなに用意して管理できるのかと心配になったが、周りのお客も大半は日本酒のようである。
それではと、まずは東一(佐賀)山田錦純米酒。ガラスのお銚子にガラスの御猪口。香りはきつからず、旨みも強くはない。刺身の味わいを損ねないように配慮されているようだ。二杯目は日高見(宮城)弥助、そして三杯目は紗利(福井)五割諸白と重ねてみた。ここらまで来ると、周りのお客とも旧知の友となる。ご馳走されて銀杏を頬張りながらの勘定となった。
値段も決して高くはない。是非、立ち寄ってみてはいかがだろうか。
ただ、必ず予約を入れたほうがいいかもしれない。それだけ人は入っている。
この記事へのコメントはこちら