穴子、木更津、港町。
突然旅に出たくなった。
そんなに遠くなく、泊まるほどもなく、それでも海が見えて、何か肴が旨く、酒にありつける。そんな時間を持ちたくなった。
ちょうど、千葉の羽鳥野に用事があったので、高速バスで羽田に出た。羽田空港のロビーで、持参した昼飯を頬張って君津行きの高速バスに乗車。揺られる事、30分。到着先は開発途中の住宅地。
「こんな場所もいいもんだ」と見渡せば、道路の交差点には信号がない。と言うより、車そのものが少ないのだ。
用事が済んで、これからが旅の始まりである。目的は全くない…。
路線バスも1時間に1・2本「優雅だ」。バス停の横には酒屋がある。益々「優雅だ」…。
兎に角、バス停に書かれた木更津行きに乗り込んだ。乗車と同時に「こんにちは」と運転手さん。慌てて「こんにちは」。バスの床は木である。実に、「優雅だ」…。
うつらうつらと夢気分の中、木更津駅に到着した。
そのバスの中で読んだ本が「ホ・オポノポノ」。
話すと長くなるので、簡単に言えばハワイの伝統的な問題解決技法なのである。ユニークで、実に簡単な技法で、日常生活の中で体験する様々な問題、苦痛、悩みの原因を解決する。その原因は潜在意識の中の記憶にある事から、それを消去することによって、問題を解決しようというものなのである。
しかし不思議なのだが、バスの中で本を読んでもまったくバス酔いがなかったのである。人生で初めての経験である。どんな条件でもバスの中で本を読むと気持ちが悪くなるのだが、その症状が全く出ない「不思議である」
話が逸れた。「ホ・オポノポノ」は別の機会に話すことにする。これを書き出すと止まらなくなるからである。
到着先の木更津は狸ばやしで有名な證誠寺がある。「しょ、しょ、しょじょ寺」の證誠寺である。
寺を見て回って、港に出れば停泊中の船から、哀愁の汽笛が聞こえた気がした。何となく一杯やりたくなって来た。
お薦めしたい店がある。寿司竹である。
旦那も奥さんも何とも気さくな方々。食した鰺、しめ鯖、赤貝、そして穴子。焼いたアナゴは、柔らかくて食感がたまらない。
仕上げに巻いて貰ったカッパ巻きも、ゴマと刻みキュウリが酒の旨味を逃がさない。
清酒 「木更津」は、久留里の名水と君津産米の若水を使用して仕込んだ純米酒木更津。久留里の名水と酒造好米「美山錦」で仕込んだ吟醸酒。
そんな酒と肴に舌鼓を打ちながら、木更津を後にしてバスに乗り込んだ。これがまた愉快、新宿駅直行の高速バスがあるじゃないか。
揺られる事、2時間。
帰りはロマンスカーと洒落込んだ。実に楽しい一日だった。それにしても穴子は旨かった…。
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