アストラッド・ジルベルト「イパネマの娘」
ボサノヴァの女王、アストラッド・ジルベルトが6月5日、83歳で亡くなった。
彼女の名前を知ったのが中学時代だと思う。あの何とも力の抜けた歌い方、そこにボサノヴァのリズム。まるでブラジルの海岸で夕日を眺めながら流れる音楽にピッタリな音色。それが「イパネマの娘」だった。
当然ではあるが、何度もギターで挑戦したが、私の技量ではボサノヴァのリズムとコードを弾きこなすことは夢のまた夢であった。人様の演奏を見ていると「おお、弾けるんでないの」と大きな勘違いをするものだから、何度も挑戦はしたが、いとも簡単に挫折してしまった。
そんな私事は遠くにほっぽり投げて、アストラッド・ジルベルトの歌声が好きだった。少しかすれて、軽快なリズムの割には軽々と歌う姿をYouTubeで見てみたが、身振り手振りのリアクションがある訳でもなく、実に淡々と歌い続ける。しかし、その歌声に魅了されていく。
「The Girl from Ipanema(イパネマの娘)」は夫のジョアン・ジルベルトがブラジル語でボーカルを奏でていたが、アストラッド・ジルベルトによってソロシングルとして再編集されると、1964年に全米トップ5、全英トップ30に入る大ヒット曲となった。
ヒットとは分からないものだ。
さて、一言付け加えるが、彼女の夫、ジョアン・ジルベルトはボサノヴァの草分け的存在である。1950年代後半に伝統的なサンバとモダン・ジャズを融合した新ジャンルを切り拓きボサノヴァの誕生となる。
勿論、彼も残念ながらこの世の人ではない。
素晴らしいミュージシャンが次から次へとこの世を去ってゆく。当然と言えば当然なのだけれども、何だかこの手の訃報を聞くと自分の年齢が重たく感じられる。
いつか、いつの日か。私の訃報も風の便りで届く時が来るかもしれないが、そん時YouTubeで探しても一つも検索されないので、今のうちに一緒に飲んでいた方がいいかもしれない。
それにしても先日書いた「ホッピー税込170円」について「Amazonじゃ118円だぞ」と教えてくれた友人がいる。
やはり「持つべきものは友達」である。
この記事へのコメントはこちら