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酒と歴史の旅・長野県佐久市「武重本家酒造」

  

中仙道の街道沿いには、昔の面持ちのまま伝統を守り、時代に合わせた味を追求した一流の酒蔵が、そこにはあった。

蔵の入り口は旧家のたたずまい。その雰囲気からすれば大地主の敷地の中に、足を踏み込むようだ。

その名は「武重本家酒造」。宿場の地酒として御園竹、牧水を造り続けてきた。

酒蔵見学は年に一度。出来たて新酒の試飲は年明け3月21日。それまで「おあずけ」である。

その蔵の事務所の壁面には、この間取得した日本酒鑑評会の賞状が並び続けている。

「すごいですね」と語ると、熟年の親父さんが「近年のはここですよ」と嬉しさ満面の笑顔で事務所に飾られた賞状を見せてくれた。

その歴史は、江戸時代にまでさかのぼる。武士が酌み交わす酒の味わいも、この蔵から出荷されたのだろう。庶民の口には、どんな味の日本酒が届けられたのだろうか。

その歴史の証明は、蔵の一画に展示されている江戸時代の酒造道具が時を刻んでいた。

杜氏の号令とともに、蔵人たちが仕込みに汗を流したのだろう。その経験と酒造りの伝統は、日本人だからこそ受け継ぐことができる緻密で繊細な芸術品だと感銘を受ける。

蔵の方とは、数少なくしか話すことが出来なかった蔵の訪問だったが、得たものは大きかった。

別れ際「新酒はまだですか?」と尋ねると「12月始めでしょうね」と満面の笑顔で答えてくれた。


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