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埼玉県蓮田市「神亀酒造」

  

蓮田駅からタクシーでワンメーター。降り立った先に蔵の景色はどこにもありません。「酒造の看板は?」同行した仲間達も首をひねります。

樹木の間から酒のケースが遠くに見えました。「確かに酒造会社に間違いなさそうだ」…。

事務所の中で、専務が対応してくれました。総勢10名を超える日本酒学講師集団を快く受け入れてくれたのは蓮田駅前の「彩々楽」の店主のお陰です。

酒造りの時期は10月~4月、それが終われば何もない、と切り出した専務の話は実に奥が深いものです。
「今の若い人は気の毒ですね。昔は井戸の水は年中一定だったから、一定温度を身体で覚えていれば、蒸し米の温度も理解できる。今の若い人にはそれが理解できない」と…。

水、米の変化と温度が覚えられるのに10年かかる、「それが酒造り」と淡々と話します。

半年間の過酷な仕事を終えた蔵の内部は、米を蒸す大きな釜も、洗米の機械も、麹室の中も、静かに秋の訪れを待っています。

しかし、並べられる大きなタンクの中では、静かに静かに熟成が続きます。タンクに手をあてると、ほんのりと温もりが伝わるようです。

蔵の説明を終えて事務所に戻ると、大吟醸の一升瓶が用意してありました。「えっ、飲まして貰えるの」と静かな期待。
冷えた一升瓶の回りには水滴がついて冷たさが伝わります。しかし、その横には燗付けの容器が…。「大吟醸を燗付けするの?」

熟成から生まれる本当の味。そして本当の香りがそこにありました。湧き出すクリーミーな米の香りは、今でも脳裏から離れません。
人肌で温められた清酒は、温められる事によって、眠りから目を覚ましたように本物の味を復活させます。

「旨い!」見事です。見事な味です。

まさに、杜氏集団が作り上げた、自然の恵み。よく、ここまで育ってくれた清酒の味わいと、専務の心意気に「惚れ込みました」。

酒造りの全行程を覚えるのに15年。一人の杜氏を育てるのに15年…。
しかし、語る専務の笑顔からは15年後に旅立つ、若き杜氏達の姿が目に浮かぶように未来を見据えていました。

「神亀酒造」その未来に、乾杯!


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