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王禄 純米にごり出雲麹屋(漱石その周辺)

  

花札で例えると「桐」1月の松に始まり、最後の札です。
しかし12月が何故「桐」なのか、たいして疑問を抱かず過ごしてきました。
これは「ピンからキリ」という洒落だそうです。
暦も最後の1枚になりました。

余が漱石と共に高等中学(後の第一高等学校)に居た頃漱石の家をおとずれた。
漱石の家は牛込の喜久井町で田圃からは一丁か二丁しかへだたっていない処で
ある。(中略)
大方六月頃の事であったろう、そこらの水田に植えられたばかりの苗が
そよいで居るのは誠に善い心持ちであった。
この時余が驚いた事は、漱石は、我々が平生喰う所の米はこの苗の実である事
を知らなかったという事である。
都人士の菽麦を弁ぜざる事(豆と麦の区別がつかない事)は往々この類である。
正岡子規「墨汁一滴」より

十歳の時、父に死なれているので、幼い時の記憶しかない。
父は癇癪もちだったという。
ぼくは暁星へ入れられたので、フランス語を小学校1年のときから教えられた。
父は自分が教えてやる、というので、その前へ座ったが、遊びたい盛りなので、
勉強に身が入らない。
すると父は癇癪をおこして「バカヤロー」と言い、或るときはぶん殴られた。
母が「小さい子供にガミガミ言ってもしかたないでしょう」と言うと、
「俺はできないやつは大嫌いだ」と言った。
しかし一面こんなこともある。
或るとき昔の同級生にあった。
彼が「子供の頃お前の家へ行って、よく遊んだな。お父さんの書斎の廻り廊下
を走り回って、かくれんぼをした。お前のお父さんの部屋に入っていった。
お父さんは本を読んでいたから、その股の中へ入ってかくれていた。
そうしたら、誰も探しにこないので、いやになって自分の方から出てしまった」
ぼくはこんな話は、はじめて聞いたが、父はふだんそのくらい優しい人だ。
ぼくは父とよく相撲を取った記憶がある。

或るとき「漱石の病跡」という本を、のぞいてみたことがる。
それによると漱石は病気であったというのだ。
躁鬱病のことである。父が憂鬱になったり、荒れたりしたのは、そういう病気
のためかと思ったら、ひじょうに嬉しかった。たいていの人は、親が精神の
病気を持っていたといえば、むしろ悲しく思うのだろうが、
僕の場合は逆なのだ。つまり、あんなに僕たちを可愛がってくれた人が、
ふとした時には乱暴する。それを考えると、もやもやしていたのに、
病気だときいてから、気分がさっぱりした。
「父の周辺」より 夏目純一氏

「いろはガルタ」をして遊んだエピソードもありました。
漱石には十八番の持ち札が2枚あって、いつもその2枚を膝の前に並べて睨んで
いたが、大抵は子供に抜かれてしまうのだった。その札は鏡子夫人によると。
「あたまかくして尻かくさず」「屁をひって尻すぼめ」の2枚で、
それを持ち札にしながら、わざと抜かれたりして、子供を喜ばせている。
そこらが明治時代の模範的な父親だと、鏡子婦人は褒めている。
12月9日(火)は98回目の命日。3回シリーズでお伝え致します。

開けるときはよく冷やし、1時間以上静置しておいて下さい。
布巾等で瓶口を覆い、ゆっくりとキャップをゆるめます。
泡がでてきたら、再びキャップをしめます。
以上を繰り返し、慎重にガス抜きをし開栓して下さい。

こんな注意書きもあり、にごりであることも承知しているのに、
嬉しさのあまり、つい手順を怠ってしまいました。
あ~あ、溢れてしまいました。覆水盆に返らず、失敗しました。

今年は、出雲大社で慶事がありましたので、王禄を3種類ご紹介します。

島根県 王禄酒造有限会社  純米にごり出雲麹屋
精米歩合60% アルコール分16.5度
720ml   1、750円(税別)
仕込み10号

背景 橋口五葉「吾輩ハ猫デアル」


コメント一覧

  1. 百合の華 より:

    お久しぶりです。「桐」の月なのですね。今年も美味しそうなお酒を沢山知ることができました。あらためて感謝です。
    加えて昭和の香り漂うお話も私は大好きです。
    ホッと一息をつけるひとときをありがとう これからも楽しみにしてます!

  2. 月の明かり より:

    百合の華様 「月の明かり」です。

    お忙しい「桐」の月にコメントありがとうございます。
    酒の旨みをご理解いただければ、こんな拙い文章を書いている意味もあるのかなと感じます。

    この頃は、毎日の書き込みが一日おきに、そして三日に一度、
    さらには週2回になりました。
    そのうち、ふ~っと、書き込みが無くなって、月の明かりが落ちるかもしれません。

    そのな時まで、どうぞ暇つぶしの一つとしてお目を通していただけえれば幸いです。

    そんでは、また炊き込みご飯を楽しみにしています。

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