水割り
「あのー、いいお酒は水で割ってもウマイという説がありまして、それをひとつ試してみたいんですが」
「おお、それは酒を造っている人間には、恐ろしい言葉ですね。水で割るといい悪いが実にはっきりします。醤油なども、そうですよ。少しでも欠点があると、そこから崩れてしまう…。逆にきちんと造ってあれば、どんなことをしても大丈夫。燗でも、ロックでも、水割りでも、何でも試してください」
と石本さん。余裕の笑顔である。
水割りは、実に飲みやすかった。アルコール度だけが下がる感じである。
意外とよかったのが、大吟醸の燗。ひかえめな味と香りが、強くはなるのだが、よりまろやかに感じられる。調子にのって、お湯割りも試したが、これも大正解。
石本さんとは石本龍一氏、越乃寒梅の社長です。
質問者は俵万智さん。酒好きが高じてバーでアルバイトをするかたわら「百人一酒」を2003年に出版。
私の数少ない蔵書です。
読み返して、私も試して見たくなりました。
新潟県石本酒造「越乃寒梅」純米吟醸 無垢 4合瓶 1、458円。
もちろん正規の価格で購入です。
さて、一年間あっちへ行き、そしてこっちで飲んで好き勝手なことを書きながら時を過ごしました。
震災や水害、放射能汚染と日本全体に波紋を広げ、改めて「生きる」意味を感じとった一年でした。
でも、一歩一歩立ち上がる蔵元さんに励まされて、こちらも励んで飲み続け年末を迎えました。
また来年も同じような生活を続けるのでしょうが、懲りずにご笑覧願えればと思っています。
全国津々浦々で読み続けるマニアックな皆さまに、今年最後の乾杯であります。
近所の酒屋さんで
「燗でよし。冷でよしの美味しい正月用のお酒下さい。お金には糸目をつけません」と景気のいい事を言いましたら。
こんなお酒を勧めてくれました。
長州の純米酒「貴」
特別純米酒「南部美人」
いただきもので
菊正宗「樽酒」
これで正月はお酒には不自由しません。